精神疾患の薬の副作用?

少し珍しい例なので覚書として。

3週間ほど前にある年配の方から、精神科に通っている娘さんが、薬の副作用と考えられる辛い症状で苦しんでいるのでよかったら運動不足解消もかねて見てほしいという連絡がありました。

その方曰く、娘さんが精神症状の薬を飲み始めて、身体の緊張がきつくなり、とにかく首の痛みで夜も寝られない状態だとのことでした。

ただ、お医者さんは薬の副作用は考えられないと言われたそうで、どうしようもなく、IT’S ITO'S PILATES!!!のことを思い出し、身体を緩める運動をでもして、何とかしたいと思われたのだと思います。

こちらとしては、特に運動が禁止されていなければ大丈夫ですが、症状が症状だけに、もしかするとできることは少ないかもしれませんという前置きをした上でお受けしました。

さて、2週間前に来場されて、実際に見たところ、想像以上に辛そうでした。まだ30代ですが、眉間にしわがより、目つきも険しい感じで、初めてのための緊張もあるのか口数も少なくて、反応があまりない感じでした。

また不規則に右首から右上半身に痙攣のような動きが頻繁に起こっていてじっとできない感じです。調べてみると、意外にも全身的な緊張はあまりなく、首から上に集まっている感じでした。

特に胸鎖乳突筋の緊張が強くどうやってこの緊張を落とそうかというところで考えました。アゴに関連する部分から少しづつアプローチして、最終的に一番効果があったのはアゴのある方向への動きでした。セッションの終わりには痙攣がほとんど収まり、少し緩んだと感じていただいたのでその日は終了。

そしてまた2週間が経ち先日来られた時には、入ってくるなりの表情がかなり変化していました。眉間のしわもなくなり、痙攣のような動きもなく、セッション中には時折笑顔、アプローチ後の感覚を教えてくれたり、笑い声をだすなど、全く別人のようになっていてすごく安心しました。

ただ当日の本人の訴えは頭頂から前あたりの頭痛があるということと、若干のふらつき感でした。調子は良いとのことで、早速調べてみるとまずは足の反応で、足と脚の動きからアプローチし始めましたが、やはり動かしにくそうです。

ハムストリングには力が入れにくいとのことで、その動作時に首の緊張が見られたので、よくよくみると舌骨筋あたりに力が入っていて、左胸鎖乳突筋もやはり緊張して、本人も仰向けの時は特にこれが辛いようです。

舌の位置を変えると脚に力が入りやすくなりました。この時点で頭痛は後頭部に移行し、やはり環椎後頭関節のあたりで動きが悪くなっています。

さらに舌の動きにフォーカスしてみると、これは前回も見られましたが、震えがかなり強いので、意識しながらゆっくり動かすことで、胸鎖乳突筋も一気に柔らかくなって楽になって喜んでくれました。また少しフラフラしていたのが、足が地に着いた感じがするとも言ってくれました。最後には後頭部の頭痛もなくなっていきました。

今後もできることなら観察は必要ですが、後で解剖図などで調べたり、いろいろ総合して今回の経験をまとめてみると、舌や咽喉のあたりの筋肉は脳幹とも近いし、頸動脈も近くいろいろな神経や血管が集まっていて、自律神経とも関連が深いです。舌喉でいえば、舌咽、舌下神経などは直接脳幹とつながっているみたいなのでこういうことが起こってくるのかなあ、とぼんやり妄想のように考えてしまいます。

ネッター解剖学アトラス  南江堂より
トートラ 人体の構造と機能 丸善出版より

もし副作用なのだとすると精神疾患の薬なので脳神経に作用するのは明らかでしょうから、もしかするとどういうわけか脳幹の働きを弱めてしまった?とか、あるいはもともと舌周りの動きの癖があり、それと薬の作用との兼ね合いでこのようなことが起こったのか?もちろんわかりません。

この結論は、私はどんな薬を飲んでいるかも知らないのでただの妄想だと思っていただければ幸いです。いずれにしても、楽になったのは事実で、舌やアゴの動きがそっちの方面への刺激になったのは間違いないみたいですね。

そう考えると「運動」というもののステレオタイプがどんどん壊れていきます。今回も本当に勉強になりました。今後もまだまだ、いろいろな例で少しづつ調べていきたいものです。

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