難しい例の覚書

難しい例の覚書

元々はしつこい腰痛があるということで来場された女性です。その腰痛自体は数回でほとんど痛まなくなりました。しかし、その代わりに左肩が痛み出しました。

夜も痛みで目を覚ますほどで、毎週のように見ているのに、「いつの間にこんなになったの?」というほど、肩の可動域も屈曲、外転、内旋・外旋で大きく制限されてしまっていました。

可動域が狭いといってもストレッチ的なアプローチも全くできない状態です。

この方の問題点はその時その時で少しづつ違いますが、主に、胸郭と頚椎、顎関節、頭蓋骨の動きです。これは腰痛の時からあり、少し改善されるにしたがって腰痛はなくなっていきました。しかし依然としてあるのは事実です。

肩の痛みに変わってきたということは、つまり腰以上に、肩回りに関連する問題がもっと深くにあったということかな?と考えられました。

その上、首から上の動きは、息が少ししんどそうになることと、時々喉が詰まるような苦痛が起こるため、深堀はできない状態です。

動かし方には気になることがあったので、引き続き、頚椎、アゴ、胸郭にプラスで手首や肘の使い方などからいろいろとアプローチしましたが、その時にはそれなりにラクになるものの2-3日でまた痛みがぶり返すということを繰り返していました。

これは腰痛と比較にならないほど根深い感じです。

ここで、これまでの力学的・解剖生理学的な視点でのアプローチには進展が見られそうになかったので、連想ゲーム的な発想で、首から上の問題点は心理的な関連も大きいと考え、心理生理的な要素を含んでいる陰陽五行説を参考にすることにしました。

五行説の五行色体表を参考に、

五志:怒・喜・思・憂・恐で調べてみると、憂に反応がありました。憂は金で、五臓では肺、五腑では大腸とあります。

この方は肺には気胸の既往があり、先に述べた通り胸郭の硬さはかなりあります。また胃腸は弱く、最近お腹を壊しているとのことです。お腹を壊す以前から肩は悪かったわけですから、やはり壊しやすいということなんでしょうね。

嘘だろ?と一瞬思いますが、かなり一致しています。そして、ここら辺を考慮に入れながらセッションをしていくとこの日を起点に少しづつ好転していきました。今では夜間の痛みは気にならない程度になって、肩の動きも少しづつ可動域が広げて動かせるようになりました。今回たまたまという感じではありますが、それでもある程度具体的に心理や環境と身体という視点をもって世界観を形作っている陰陽五行のシステムってこういう使い方ができるなと少しまた視点が広がった気がします。

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