目的・方法そして原理

なかなか時間が合わず行けないことも多い古武術の稽古ですが、なんとか時間をとり行くようにしています。

稽古を通していつも考えるし、考えさせてもらえるのは原理と方法の違いについてです。

なぜ古武術の稽古にいっているのかという理由にもなっているんですが、私自身格闘技をやっているわけでもないし、武道経験者でもありません。またできれば護身程度はできればいいなとは思っていますが、この年で強くなりたいともそれほど思っていません、いや、あわよくば、なりたい気持ちは多少ありますが、そもそも武術や格闘技といったものは一部健康づくりにいいものの、もともとは殺傷のための技術ですから、私のようなものは痛めることもしばしばあります。

ではなぜ、通っているのかといえば、やはり、古人が苦労の末、あるいは偶然かもしれませんが、やはり必死の命の取り合いのなかで、生き残りをかけてつかんだ身体の使い方、そして生き残ったがゆえに残ってきた身体の使い方、そしてその中にある現代にも通じる「原理」を拾い上げて、そして武術や格闘技以外にも、現代のいろいろな場面で役立てたいと思っているからです。

そして教わる武術の流派は一つではなく複数あります。

その上、柔術、拳法、体術、合気柔術、剣術・・・など、いろいろと総合的にやっています。一つのものを体系的にやるわけではなく、いろいろな技や形を実践したり、教えてもらいながら、方法の裏側にある、共通点や相違点など、歴史的なところも含めて解説してもらうような形です。

そして私にとっては、どの流派がどれ、というのは最近、おぼろげですがわかってきたものの、それでもあまりよくわかっていません。

でもそのことも大事なのですが、やはり強調されるのはその技の原理と歴史的にどういう状況、戦術の中でその技が成り立ったのかという目的を知ることです。

そうすることで現代ではそれをどうするかを知る手がかりになります。

その技だけを現代的な視点だけで見て、使える、使えないなどというのはナンセンスですね。

武術といっても単に相手にダメージを与えるという目的ばかりではなく、いわゆるハッタリをかけたり、注意をそらせたり、逆に誘いをかけたりという様々なものがあります。ある意味、相当卑怯な手もたくさんあります。

それもこれもすべては生き残るためです。これが「目的」で最も大きなくくりです。

その流派の技や戦略はそれができたときの時代背景、身分、置かれた状況がそこには大きく反映されています。

そして最終的に勝利をおさめるか、少なくとも生き残るという目的のための戦術の中に技があるということです。

例えば忍者ですが、忍者ってなにかいろいろと武術の技がすごいし、すごく戦っているイメージがありますが、どうもちょっと違うようです。そもそも忍者は武将に雇われたスパイです。

スパイの主な仕事は戦うことではありません。いざというときに使える武術は大切ですが、できれば何事もなく情報を得て、味方武将に伝えることで、これが一番の目的です。ですからなるべく人に気づかれず、欺く、隠れる、逃げる方法論というのが最も重要なことだそうです。戦うといっても暗殺のような方法のことが多いでしょう。正面切って戦うのはどうしようもなくなった最後の手段です。

ですから、そういう戦術(目的)を骨組みにして構成されているのが、それぞれの術であり技(方法)ということになります。

さて、最後の「原理」とは物事のよりどころとなる根本の法則のことをいいます。

物事とは、この場合、方法、技や術のことであり、原理は、つまりその方法が成り立つための構成要素ともいうべきものでしょうか。力はどのようにして伝わり、どのようにして使えなくなるのかという原理、自分の力は相手に伝えても、向こうの力がこちらに作用しにくくなる原理、人間の本能的な反応、心理の原理、意識を利用する原理などなど、そういうものを変幻自在に組み合わせることで技というものができていて、それが目的に向かって一つになることで効果が上がるということですね。

「方法」はある原理をどのようにとらえて、解釈し、生かし、どのような目的の中で使うかというものであって、つねに必要に応じて、状況に応じて変化するものですが、原理はほとんど変わるものではありません。

目標を明確にして、それに関連する原理を詳細にとらえれば、方法は与えられた条件の中で選ぶことができます。ですから方法は後からついてくるだけで、かなりいろんなことに対応ができるわけですね。

 

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