目の動きと姿勢・パフォーマンス

目ってよくよく調べてみるとと実に実に面白いです。

目の動きというのは、脳、神経学的にも学問的な研究対象としてもやりやすいらしく、結構研究されていることが多いそうです。

とくに目の動きでは実に興味深い事実があります。ある一点を動かずじっと見つめる、「固視」という現象があります。

この固視にあっても、実際には眼球は静止していません。これは事実です。

細かく動いているのです。

なぜ動く必要があるんでしょうか?

眼が完全に停止する時間が長くなると、眼から入る視覚情報の刺激に反応しなくなり、見ることができなくなるというのです。

つまり刺激に神経が慣れてしまうと、感じなくなってしまうんです。

また、眼球内の毛細血管や神経など、不必要な情報を脳に送らないのも目的の一つだと言われているようです。

神経系統は常に新鮮味を保つ必要があるということですね。

目という、あるいみ全身から見ればミクロな視点でもそうであるなら、

マクロとしての人も、生きている以上完全な静止はあり得ないと考えられるでしょう。

姿勢も常に微動するのは当然だということだと思います。目は情報を受け取る情報機関です。立つバランス感覚でも視覚は非常に大きな役割を担っています。

でも、それ以外にないんでしょうか?

私が習っている古武術の先生によれば、空手の形である「ナイハンチ」の動きというのがあります。

一番最初は目を動かします。

古から武道では、一眼、二足、三胆、四力・・・そのあともあるそうですが・・そのくらい目って大事なものだそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=TI7o76YkQ1I

なぜ目の動きが先になるんでしょうか?

目の動きが重心移動の先導をするんですね。

ピラティスでも視線を誘導するこの重要性はよく言われます。

運動指導でも目線の動きをコントロールすることは非常に大切ですが、目の動きまで指導している人はほとんど見たことがありませんね。

目というのは先に言った通り、単に情報器官として外部情報を受け取るだけではなくて、意識の方向付けをする「役割」といって良いかどうかはわかりませんが、そういう仕事もするわけです。

例えば、まっすぐ前を向いて座って、目だけを左右に動かしてみてください。ほとんどの人は目とともに頭がわずかに目を動かしたその方向に動きます。

つまり目の動きが首の動き頭の動きを決定づけているわけです。

特に後頭下筋群(後頭部と頚椎の間の小さな筋群)に直結しているといわれていますが、頭蓋骨は身体の中でも重い部分ですから、そこが自然に動くことによって重心が動きやすくなることは非常に理にかなっています。

頭蓋骨のこめかみの部分は古くから上丹田といわれています。そこが動くのです。丹田というと下腹のあたりのことをいう人がほとんどですが、これは実はかなり最近のことで、合気道の影響が強いんじゃないかと思います。

丹田は元来上中下があります。

実践的な動きでは下丹田だけを意識しすぎると動きづらくなることも多々ありますので注意が必要です。

上丹田からの動き、下丹田からの動き、中丹田からの動き、そしてその連携。

目の動きに戻れば、こういう作用を知る(実際に感じる)ことで、頭痛や首コリ、目の疲れまで楽になるともありますし、今度はさらにその法則を逆利用して、法則から外れた動きもできるようになるわけです。

振り返って、パフォーマンスにおいて、ある形を「正しい」と決めつけてしまうことは、このように不確かな身体の前提をもとに動きを決めてしまう、こだわることの危うさを物語っているようには思えないでしょうか?

野球のバッティング、ゴルフのスイングなどでも、スイングの軌道や持ち方、手の位置はどう、腰は、股関節は、重心は・・・いろいろもっともらしいことを、などの自分が本当の意味で納得していない決まり事に執着していませんか?

実際は身体の動く部分すべてに注意し、深く感じることです。

正しい動きというのは存在せず、実際には常に相対的なものであり、身体の状態、環境などによって影響をうけます。

と言うことは、まずは方法論に目を向ける前に、あるいは一旦立ち止まって、自分自身の全身に帰って、物差し自体を確認する、見直すという作業が必要なんですね。

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