バレエの足と歩き
特に30歳過ぎるころまでは、バレエって、自分にはもっとも縁のないもの、そういう存在でした(笑。
私を昔から知っている人なら、うん、うん、そうそう!とうなづいていることでしょう。
しかし、ピラティスとご縁をいただいてからは、バレエは、昔と比べてけっこう身近な存在になりました。
ピラティスやボディーワークを実践する人にバレエダンサーが結構多いということがその理由だと思っています。
ピラティス氏が、ニューヨークでジムを開き、近くのブロードウェイのダンサーや、バレエ団のバレエダンサーの間で話題になったというのが、この流れの原点なんだろうと思います。
さて、これまでの流れの中で、たくさんではありませんが、何人か、男女の現役、または元バレエダンサーの方のセッションをしたり、ワークショップなどで一緒に勉強させてもらったりという中で驚いたことがいくつかあります。
一つは、一般的にバレエって、そのパフォーマンスを見ると、すごく身体が柔らかいイメージですが、意外にもそうでもないことが多いんです。
というよりも、バレエに特異的な動きを要求される部分については、たしかに柔らかいというか可動域が大きいです。
大きい代表的な関節、つまり股関節や肩関節、あと脊柱の中でも胸椎の伸展は素晴らしいものがあります。
私のようなもともと猫背の人間には、本当にうらやましいほどの可動域です笑。
でも、それ以外の部分でかなり頑固な硬さのあることが多い。私の経験の中では胸郭まわりや、意外にも、腰椎が伸展しにくそうな方もいました。もちろんこれは個人差があるでしょう。
あとは下腿、足部は股関節の代償が来ている場合が多かったですね。
また歩き方も独特です。バレエの舞台での歩きの特徴がでている人がいました。文章で表現するのは難しいですが(リンクの動画を参照してください)、
足先からササっと動いていくような歩きです。
これはこれで上手くやるのは相当な技術ですが、これ、なかなか難しい歩き方だなと思います。
何が難しそうかといえば、重心がめちゃくちゃ移動しにくいでしょうね。
バレエ特有のターンアウト(股関節、膝、足関節の外旋させる動き)もそれを助長しているのかもしれません。
事実、普通に歩いてもらうと、若干腰が後ろに引けていて、踵が強めに着地してしまうような感じで少しバタバタと歩くような印象の方が何人かいました。
バレエ独特(特異的)の訓練が通常の歩行に影響を及ぼしているんだろうと思いました。
芸術ですから、自分を知らずにバレエの基準に合わせることでかなり無理をしているのかもしれません。
それによって、結局はパフォーマンスの制限となったり、トラブルの元となります。
つまり、よりパフォーマンスを上げようとその動きに特異的に頑張った結果、結局パフォーマンスを妨げてしまうわけです。
なんという皮肉でしょう。
実はバレエだけではなく、一生懸命スポーツをしている人ほど、そのスポーツの動きの特徴が身体の動きに反映されるというのは、おそらくよく知られていることだと思います。
じゃあ、特異的な練習はやってはいけないのか?
そうではなく、それはやはり欠かせません。やはりそれをやる前に、あるいはやりながら自分の動きの基礎・基準を常に調整して初めてより生きるものなんです。