ピラティス・ボディーワークの原則とトレーニングの原則の関係③ トレーニングの原則再考

さて、前回は、トレーニングの原則の中の特に過負荷の原則についてとピラティスの動きの原則と矛盾する部分について断片的に考えました。

いろいろ考えてみると、過負荷の原則についてのこの矛盾は、

おそらく、極端にいえば、運動の効果を単にその筋肉に焦点を当てて全身と切り離して考えることと、運動をコントロールする脳を含めた全身に焦点をあてることで、このような違いが出てくるのかもしれないということです。

つまり、この原則においてはどの筋力であれ、あるいは持久力であれ、単独に○○筋という筋細胞のみ、あるは心肺機能のみ切り離して、そこへの刺激―回復(超回復)ということ前提として考えているように思います。

超回復とはいっても、組織によって、回復のスピードが違うということもよく言われます。単独の組織だけで運動するわけではありませんから、実際の現場では、この辺をどう考えればいいのかと言うのが問題です。

また、単独筋や一機能を鍛えるという考え方はもちろん、単独の、あるいは一部の筋群をストレッチする、伸ばすという考え方も、厳密にいうとピラティスなどのボディーワークの考え方とはちょっと違うということになります。

しかし科学的には、ある程度条件や焦点を限定して、トレーニングの効果を検証するほうが実験しやすいし、エビデンスを取りやすいわけです。そういう利点は非常に大きいと思います。

そしてそういう研究実践を積み重ねて、この過負荷の原則を中心にして、漸進性、継続性、そして特異性の原則とが組み合わされて理論が構築されているように思います。

この4つの原則はいろいろな教科書的な書物でも頻繁に出てきますし、重要視されています。その上、非常に単純明快、アメリカ的(笑)!

NSCAの資格(アメリカのストレングス&コンディショニング協会の運動指導資格)取得のための教科書にもこのあたりしかでてきません。

しかし、ここで無視してはいけない原則があります。

それは、「全面性の原則」そして「意識性の原則」です。

もちろん具体的な原則ではないので、解釈も様々あるでしょうが、私はここにボディワークのとの関連性を見出すのです。残念ながらトレーニングの原則の一つであるにも関わらずトレーニングの世界ではほとんど話題に上ることがありません。

そもそも、全面性といっても例えば、上半身と下半身と言ったような全身と言うことなのか?、筋力も心肺機能もというような身体機能的な全面性なのか、ピラティスのような心も体もなのか、わかりません。また、意識といっても「意識とは何なのか」と聞いてきちんと学問的にも答えられる人はほとんどいません(個人の解釈は別ですよ)。

意識という存在そのものすら科学的には完全には証明されていないようです。

それに、全面性と特異性って基本的な言葉の意味上では矛盾してない??って思いませんか(笑)?

まあ、そういうことで、この2つの原則は、結局わかりにくいんですよね。だから、あんまり一般的には知れ渡らないのかもしれません。

これらをすべて一体化して、意識、心、身体、環境さえも一体化して考えるのがやはりボディーワークの考え方なのでしょう。

トレーニングという枠組みで考えるならば、「全面性」と「意識性」を具体的にしっかり突っ込んで考えることをしっかり視野に入れているならば、やはりこれは素晴らしいことだと思います。

これからもその部分をもっと突っ込んで、たくさんな先人や専門家の方々の知恵をお借りし、自分で実践しながら、いろいろ考えていきたいと思っています。

いずれにしても、運動の効果のすべては、心や意識をはじめ、運動には直接かかわらないとされているような器官も含めた全身の関連性、もっといえば時間の流れ、重力など環境との関係の中で変わってくるものといえるでしょう。

それをうまくコントロールするのが指導者の役目ということですね。

えー、そんなことできるの~??(笑)

自分は結局、まだまだ、何にもわかってないのだということを痛感させられます。

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