あなたは呼吸ができますか?②

前にも、ある病院併設の運動施設で指導させていただいていることを投稿したことがありました。

その時の話。

あるCOPDを患う患者さんを担当させていただきました。

COPDとは慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の略称で、Wikipedaによれば・・・「様々な有毒なガスや微粒子の吸入、特に喫煙などがきっかけになり[1]、肺胞の破壊や気道炎症が起き、緩徐進行性および不可逆的に息切れが生じる病気である。」とあります。

もともとこの病気の存在は知ってはいましたし、以前の職場でも肺気腫(ほぼCOPDと同義)の方が運動施設に来られていて、運動がプラスの効果があるという認識は持っていました。しかし、私にとっては、はじめて個人的に直接指導させていただいた例でした。

この方も、医師の指導を受けて私の運動指導を受けることとなりました。

この方は肺機能のテストでかなり機能が低下しているにも関わらず、自覚症状はほとんどなく、ご自分がそういう状態であるということを認識されておられませんでした。ただ医師にそう言われ、仕方なくこちらへ来たような様子でした。

自覚がない、といっても初めての指導で、いざ呼吸法を試してみると、やはりふつうの方とは違った反応がありました。
まず、初めてしばらくすると、少し苦しいような感じがするという訴えがありました。その時点で呼吸法はいったん中止し、苦しくないほかの運動をしていただきその日は終了しました。

医師にその点を問い合わせ、特に大きな問題ではないということでしたが、やはり苦しいというのは問題であると判断し、呼吸そのものが楽になるような体位であったり、身体の緊張をとったり、バランスを整えながら、なるべく呼吸法が苦しくない状態で少しづつ呼吸法を行いました。

具体的にどういうことをしたかは・・・・秘密にするほどではありませんが、企業秘密です(笑)・・・

と、そんなこんなで、3ケ月ほど指導させていただいたでしょうか。

本人様は例によって、最後までこれが何になるのかよくわからず、また改善しているのかどうかもよくわからない様子でした。
指導していて、理論的には呼吸訓練がいいということは言われていても、実際には一筋縄ではいかず難しいな・・・という印象を持ちました。

その患者様が来られなくなってから、しばらくして、先日、医師にその後の状況をうかがうと、検査でも肺機能の向上が見られたそうです。

どのくらい改善したかという実際のデータは見てはいませんが、「よかった!」と内心喜んだと同時に、本人様の認識がなかったことは残念でしたが、非常に呼吸を意識的に訓練することの可能性を感じました。

このような疾患に関する運動療法は、やはり医師またはそれに準ずる資格を持つ方との共同作業が必須ということになりますが、この方の症例でもわかるように、意外に自分の呼吸について正常なのかどうなのか本人でもわからないという例としても重要だと思うのです。

今一度問います。あなたは呼吸ができますか?

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