走り高跳びの力学と身体の使い方②

さて、①から随分空いてしまいましたが、前回の続きです。 常識外れのトーマスの跳躍ですが、

 

ウィキペディアで調べてみたところ、その跳び方は「垂直三段跳び」と呼ばれているようです。

 

うまいこと名づけますね。   私的には、ちょっともじってみると、垂直ハサミ跳びって感じにも見えます。

 

前回でも降れましたが、その跳び方で2m35cm跳べるのなら、ちゃんとした力学的に理にかなった跳び方に変えれば、世界記録も行けそうだと考えるのが普通です。

 

そこで、トーマスは踏切位置をかえたり、足のばたつきを抑えるなど、ホルムのような、まさに教科書的な跳びかたに変えようとしました。

 

結果、トーマスは故障してしまいました。

 

結局その番組の中では、故障したところで終わってしまいました。

 

その後トーマスは世界記録が出せたでしょうか?

 

あれからもう10年ほど経ってしまいました。

 

実は前回の投稿で2019年2月2日、つくばの戸邊選手が2m35を跳んだというニュースの裏で、あのトーマス選手が2m26で3位に入ってました。

 

まだ頑張っているんだなーと思いました。

 

ただ、いまだ国際大会に出場して入賞する優秀な高跳び選手には違いありませんが、

 

今のところ、世界にインパクトを与えるような記録は出せてはいません。当時も世界規模の大会では予選落ちなどが続いていたようです。

 

身体の使い方を大きく変えることのむずかしさを物語るエピソードだと思います。

 

でも、より高い記録を出すために、より良いと思われる方向に変えて行こうというのは非常に大事なことだと思います。

 

でも、自分の体格や特徴やバックグラウンドから大きくかけ離れた技術にいきなり変えるというのはやはりリスクが高いものです。

 

特にトップレベルになれば、その負担は相当なものなはずです。

 

身体の使い方を変えるっていうのは、いつも言ってますが、形だけ変えればそれでいいのではないのです。

 

つまりそのカタチの運動を練習すればいいってことではありません。身体の適応全体に手をつけることなんです。

 

話はちょっと変わりますが、最近トーマスの状況を知りたくて探していたら、こんな動画を見つけました。→トーマス2016

 

3年ほど前の2016年にトーマスの自己記録を出した時の動画です。脚のばたつきは小さくはありますが、いまだ健在のようです。

 

2m37cm。2m35を記録したのが、2007年のことですから、9年!

 

2cmを更新するのに9年かかったことになります。

 

なんとも凄い。この探究心の凄さはさておき、

 

独断と偏見の考察ですが、前回も述べてきましたが、最初に2007年大阪で2m35を跳んだ時に「常識外れ」「めちゃくちゃ」と言われた跳躍スタイルですが、

 

実はもう2007年の時点で、基本技術としての、いわゆるバスケット式の跳躍技術が相当完成度が高かったということではないのかなと思います。

 

すでに2m35を跳んでいるわけですから、けっして技術は低いわけではないんだと思います。

 

バスケットから転向してわずか一年半で世界一になったトーマスですが、だから凄いというのではなく、

 

バスケットがトレーニングになっていたからこそ、それをうまく高跳びに持ち込んだからこその記録であるといえるでしょう。

 

もし、高跳びをやるからと言って全くすべて今までのものを捨てて、高跳びの枠にはめてしまった時には条件が大きく変わってしまいます。

 

番組の中では、跳躍を一般の理論通りに変えようとして故障してしまったことがまず第一の証拠であると言えます。

 

故障というのはその運動刺激に適応できなかった結果だといえると思います。

 

その点ホルムは陸上競技の高跳びの理論を具現化するべく、周到なトレーニングをそれなりの期間積んできています。

 

つまるところ両者はまったく別の跳躍の技術戦略で戦っていたというのが私の解釈。

 

言い換えれば、跳躍技術の流派そのものが全く違うとも言えるんではないでしょうか?

 

とにかく自分のバックグラウンド、感覚、自分を探究するということは何よりも大切だという結論ですね。

 

とはいえ、私は跳躍については、私はほとんど素人ですから、あくまでも独断と偏見ですが(笑。

 

 

 

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