動く範囲
動く範囲
ここで私の言っている動く範囲というのは、一般的に言う可動域のことではありません。
柔軟性というのともちょっと違うかもしれません。
身体が柔らかくても、実際にパフォーマンスしてみると、動きが固いということが良くあります。
逆に、前屈がマイナスになるような、結構身体の固い人が、動くと素晴らしく柔らかな動きをする人がいます。
関節の可動域と広さと、動きのしなやかさや柔らかさは必ずしも一致しないということです。
特に、単関節の可動域そのものを拡げようとすることばかりをやっていると、先に上げたような、矛盾したことが起こるようです。
つまり、ある関節、またはそれがたとえ複数だったとしても、柔軟性を意図的に集中的に高めようとした結果、その他関連する部分とのバランスがとれていない、また、そういうことを考慮しないというのが単純なストレッチの問題点です。
ストレッチが必要ないということではありませんよ。
ただ、股関節なんかをぎゅうぎゅう伸ばしてベターってやって、喜んでいるのはほとんどがナンセンスだとは思います。
問題点を知って意識してストレッチしてくださいね。
そして、最大に動かすということとは対極に、小さくてもまんべんなく動いているかどうか?つながっているかどうか?感覚があるかどうか?
そこが重要です。
その上で、もう少し柔軟性、可動域があった方がいいのか、わるいのか?
そうやって考えていくのが本筋でしょう。
前屈や股関節、肩関節のような代表的な関節のしかも可動域だけを問題にして評価するのは間違いとまではいわないけれども、見失うものが多いように思います。
また、柔軟性だけでなく、ほかにも体力には、敏捷性やら、平衡性やら、巧緻性やらいろいろありますが、すべての基礎は、今動く範囲でちゃんとまんべんなく自らの感覚で動けているか?ということ。
いわゆる行動体力と言われるような要素はそこから派生しているに過ぎないと考えています。いいかえれば、表に見えている部分だけです。
ですから、基礎でありながら、限りなく広がりと奥行もあります。