運動指導の「正しい動き」「美しい動き」と型そして形

今日はピラティスであったり、ピラティス以外の運動指導でもよくある、「正しい」とされる動きと、武道などでよくある、「型」について考えたいと思います。

 

このブログではよく、「正しい動き」というものはあるようでなく、とらわれてはいけません!というようなことを言ってます・・

 

とはいいながら、完全に自由です!となると、どう動いていいかわからなくなりますよね(笑。

 

そういう意味で、「型」という考え方が非常に重要になってきます。

 

型と言う概念は、武道では一般的です。特に古武術でもよくレクチャーを受けます。

驚いたことに、型という漢字は特に戦後に使うようになったそうで、もともとはカタチの「形」の漢字があてられていたそうです。

型は、どちらかと言えば戦後、体育教育のためにルール化され開発された現代武道で使われるようになったようです。

一方で形は、戦国時代に、ルールの無い戦場において武士が生き残りをかけて、相手の殺傷を目的とし、有効な技を見出し、それを後世に伝える為に残したものです。

 

 

また、形と言うのは、動き形とその手順をそのままに練習しても、それだけでは使えるようにはできていません。古武術において形は、暗号のようなものです。敵に練習している形を見られても、何をしているかわかりにくいようにできているのです。

 

ですから師匠から認められ、しかるべき口伝をうけ、その動きに隠された意味、原理原則、使い方、意識をある程度教えてもらわなければできないように構成されています。

 

さらに、その原理原則を習熟して後に、より自分に合った自分の形、そして敵の状況に応じて自由自在に工夫して変化させること、昇華させていくことで、より有効に敵を欺き、より有効にダメージを与えることという実質が磨かれ、技が磨かれます。

 

つまり、形の縛りは大変ゆるいのです。ポイント、意識をきちんと押さえれば、どのようにも変えられるのです。

 

一方で現代武道では、型は特に演武などにおいては、まさに「型」。姿勢や指先の位置、バランスなどどれだけ決まっているかで善し悪しが決まります。

 

まさに体操競技やフィギュアスケートと同じです。

 

 

ここが現代武道の型と古武術の形の決定的な違いだということです。

 

スポーツでも、実質打ってナンボのバットの素振りや、スコアが上がってナンボのゴルフでは、いろいろ、こう振るのがいい、ああ振るのがいいなどの型のようなものに関しては、まずはどんなものであっても、「形」と考え、その原理・原則、有効性について、感覚・意識的なものを動員して検討し、型こだわらない態度が重要でしょうね。

 

そう、型ではなく、形なんです。

 

ピラティスでも、めっちゃ動ける人、きれいに動ける人がいます。

 

それはそれで技術ですが、ピラティスは体操競技でもなければ、フィギュアスケートでもない、ましてやエアロビクスやダンスでもありません。

 

いかに振付(コリオグラフィー)を変えようが、バリエーションを増やそうが、楽しくはあっても(もちろん楽しさは重要ですが、楽しさの意味が違います)、身体に対しての有効性が薄ければ、ただのエアロビクスやダンスとなんら変わらない。

 

健康、パフォーマンス、痛みなどに有効かどうかは、別物です。

 

 

同じ動きの種目をしても、その人によって大切な動きはそれぞれ違います。

 

いくらきれいに動けても、かならず、意識のあまり通っていないところが結構あるものです。

 

つまり、見た目の動きのきれいさを目標にしない方がいいということです。

 

もちろん「美しい」ということは大賛成です。

 

まず、美しさの基準が違うかもしれない。何をもって美しいとするのか?というのが一点。

 

「でも、ある基準で美しさを競う競技だってあるじゃないか!!」と言われそうです。私は、それでも、それを忘れることが重要だと主張します。

 

なぜなら、なによりも、美しく見せよう!という過剰な意識が邪魔になることがあるからです。

 

ピラティス指導をしている人は特にこの点で勘違いしている人が多いような気がします。もちろん指導において、見せるということは重要なことは認めます。

 

しかし、形がきれいにできるようになればすべてよし、ということにはならない。

 

まとめますと、形は必ずしも正しい美しい動きではなく、一方で、形と自由な動きは表裏一体。形を練習するのは、「型」から自由になるため、また、自由に動いて探究した結果、色々な経験から定まるのが「形」。とも言えるのではないでしょうか?

 

古人の英知ってすごいものだなあと思います。

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