体幹とバランス/身体能力を100%生かす人と使い果たしていく人

片足で立ったり、あるいは手足を動かしたりすると身体がぐらつく、バランスが悪いということはよくあります。

特に、体幹トレーニングが流行って体幹の安定性の重要性が言われだしてから、こういったことを「体幹が弱い」と結論付ける人が無茶苦茶増えました。

ちょっと横から押したり、重心を他動的に動かして外乱を加えたりして、ぐらつくと、ほとんどの方が、「体幹が弱いんですかね?」と尋ねられたり、「体幹が弱いってよく言われるんですよ。」などと言ったりします。

コーチや運動指導する人もそういう姿を見て、「ほら体幹がよわいでしょ?」とそういう結論にもっていって、やたらと外乱要因を増やしてトレーニングする人も多いんじゃないでしょうか。

外乱要因を増やしても、瞬時に対応するためには勝手に身体が動かなくては役に立ちませんから、うまくいく人といかない人大きく分かれます。確かに本当に体幹が不安定な方もいます。

もうちょっと筋肉の緊張があったほうがいいだろうという方もいますが、そんなに多くはありません。

その証拠に少し身体を調整したり、動いていない部分を動かしたり、意識を変えるだけで、瞬時に安定してくる人が多いんです。本当に筋肉が強くなり、筋力が高まるにはそれなりの時間が必要ですからね。

安定したときに強くなったのではなくて、単に正常化しただけで、もともとそれくらいの能力はあったということです。体幹といってもたくさんの筋肉や関節、神経などと連動してバランスは保たれていますので、弱いというより、それらの組織が「うまく働ける状態になっていない」というのが本当のところだと思います。

同じ練習、同じトレーニングをしても伸びる人、伸びなくて能力を使い果たしていく人の違いはそこなんですね。条件を整えれば勝手に良くなります。その上でそういう感覚を大切にしながら鍛えれば全くその先は変わってきます。

むしろ体幹がガチガチの人のほうがバランスがわるいでしょうね。筋肉をつける時、パフォーマンスを高めたくてトレーニングしている人でも、そういう前提条件を無視して鍛えている人がなんと多いことか。その前提条件というのは厳密には筋力でも柔軟性でもアジリティーでもなく瞬発力でもありません。神経筋がどうとか、脳科学がどうとかそんなものも基本関係ありません。

もっともっと基礎的、基本的なこと。

選手や普通の人がそういうことを知らないのは当然ですが、特にコーチと呼ばれる方々や運動指導をする人には、このことをわかってほしいものです。口では言っても具体的にはわかっていないことが多いんじゃないかと思います。

まあそこに至る道こそ、「狭き門」なんですよね。最近はわかってくれるアスリートも増えてきましたので、うれしいかぎりです。

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