たった一つの関節の動きが、全身の動き、その他の関節の動きや痛みに影響を及ぼすわけ
足の裏を床につけた状態から、写真のように股関節だけを動かして膝をもちあげる運動。
非常に単純な運動です。
何回か行うと、多くの人は大腿四頭筋、つまり太ももの前の疲労感を感じます。
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確かに四頭筋が重要な役割を果たすことには間違いはありません。
しかし、大きな役割を果たすことは間違いなくても、そこだけを意識する事ではありません。
ある動きの主動筋は、意識せずとも勝手に働きます。
つまり、質の高い動きの意識ポイントは主動筋とは別のところにあることがほとんどです。
動きの質を高めるための訓練と、通常の筋力トレーニングとの違いはこういうところにもあります。
意識ポイントが変われば、あるいはうまく変えることができれば、このような動きでも四頭筋の疲労感は相当軽減されます。
言い方を変えれば、このような単関節の動きでも、いろいろな考え方ができるということです。
例えば、ウエイトリフティングのクリーンなんかで重要なトリプルエクステンション(足関節・膝関節・股関節のタイミングを合わせた伸展)ってウエイトリフティングでは基礎かもしれません。
しかし私に言わせれば、基礎どころではなく相当に複雑で高度な動きです。
足部・足関節だけでも相当複雑な動きをします。
一般、トレーナー問わず、ほとんどの人が考 える足って、指以外、ただのかまぼこ板のようにしか考えていない様に見えます。
いや、構造自体、解剖学を知っていても、実際の扱いはかまぼこ板と同じ。
つまり知らないことと大差ありません。
いずれにしても、
単関節の運動にいくつもの考え方ができるということは、複数の関節の動きが関与すると、もっと複雑になることを意味します。つまり可能性として、自由度の幅が広がるはずです。
しかし、実際は、動きが複雑になるほど、ある人の動きのパターンは固着化するようです。
何故か?
複数の関節が関与するすればするほど、 そこに混じっている制限された関節に足を引っ張られるからではないかと思われます。
つまり、極端に言えば、動きのいい99パーセントの関節の動きが、悪い1パーセントの関節に大きく影響されるということではないかと思います。
単に動きの悪い関節が、といって抹消のことだけを言っているわけではなく、それは中枢の脳もひっくるめて、神経系や膜のネットワークなども当然ながら関与しているからこそ小さい関節の出来事が全身の動きに影響を及ぼすんだと思います。
ですから、また逆もまた真なり、で、このネットワークのどこかの異常が、一見関係のなさそうな小さな部分関節の異常を起こすということも十分に考えられると思います。
基礎的な単関節の動きを極める、また動きを妨げている小さな部分を見極めることは動きの質を高め、自由度を高めるために凄く重要な問題だと思います。